月曜日, 6月 11, 2007

■虚空蔵求聞持法とはなにか

空海の虚空蔵求聞持法について
寺林峻 「空海秘伝」東洋経済新報社より引用

ところで、空海虚空蔵求聞持法というのは、密教の難行の一つで宇宙に立ち向かう
壮大な修業である。
宇宙に真っ正面から向き合うように峰の高台にすわり、半眼になって正面に大きな
虚空蔵菩薩の姿を想い浮かべる。虚空蔵菩薩は文字通り虚空、つまり宇宙がその
全体的な調和を保っている力(エネルギー)を本体とする仏である。その力とは突き
つめると無限の福徳と知恵であって、祈る者にそれを与えてあらゆる願い事を叶え
させる。
(それによって記憶力を・・・・・)は、瞑想というのは、そうした実利をめざしてはなかな
か行いにくいし、本来の目的ではない。

では、虚空蔵求聞持法はなにをめざしたのだろう。
呼吸に乗せて自分の中に虚空蔵菩薩を迎え、つぎには自分が虚空蔵菩薩の中へ
入っていく入我我入(にゅうががにゅう)の状態にはじまり、やがて虚空蔵菩薩そのも
のになりきってしまう。そうなると虚空、つまり宇宙の調いの中に自分を解放できる。
虚空蔵求聞持法のほんとうのねらいはそこにある。

密教での虚空を五つにまとめると
・妨げてくるものが何もない
・どこにも行きわたる
・澄んで汚れがない
・状態が安定している
・とらわれがない

この状態の中に自分を解放できるなら、どんなにすばらしいことか。だから虚空蔵
求聞持法が密教の究極の瞑想法となっている。

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