作品:「惟神(かんながら)」
書家:丸山敏雄
寸法:320*670*35
在質:青森ヒバ
彫り:船底彫り
塗装:表面・オスモカラー(天然塗料) 文字・メルドスハードオイル(天然塗料)
作者:石井巡堂
「惟神(かんながら)」解説
「丸山敏雄の書の世界」
「惟神」とは神の御心のままにの意味。「惟神の道」は「神の心のままで人の力を加えない日本固有の道」をいう。
丸山敏雄は、この古代日本固有の道を探求純化し、「純粋倫理」という地球上のすべての生きとし生けるものに妥当する普遍的思想にまで昇華させた。それを著したものが「万人幸福の栞」である。
丸山敏雄(竹陵)の書について
頭や手先で意識的に作ったものでは、たとえ雄大さや洗練さがあるように見えても、そこには真の感動はない。真の感動は、無心のはたらきから出る「宇宙意識」とでもいうべき、無限のはたらきに遭遇した時にしか、あり得ないように思う。
「万人幸福の栞」を著した丸山敏雄の心こそ、書の温潤味の発露であり、それが人間生活を浄化し、芸術品の魅力の極致と思う時、竹陵丸山敏雄の書は不滅の輝きを放つのである。(寺山旦中)
丸山敏雄の書道感
1,書は象徴芸術であり心境芸術である。
象徴芸術とは、感動のあらわれ方が説明的でなく、暗示的で象徴性に富んでいる芸術のこと。
心境芸術とは、作者の心境が端的に表出されている芸術のこと。(ありよう)
2,書は至心の結晶
書は正しい美しい強い字でなければだめだ。強い字とは練り鍛えられた強い心で書くことだ。強い心とは純一無雑、清浄無垢、明朗雄大、熱烈果敢、火にも溶けず水にも溺れぬ不動不磨の至誠心、これを至心という。
3,書道は人生の美的境涯に透徹するの大道
遊の境地(何ものにもとらわれない、それに純一)。論語「芸に遊ぶ」「蔵・・・修・・・息・・・遊」
真善美を表現するもの
4,心のふるさとに帰る
わがままな心(利己の心)を除き去って、利他の心(慈悲の心)に方向転換し、帰ること。
刻字技法について
丸山敏雄先生の書を初めて彫ります。送呈先の倫理研究所M氏の希望は「惟神」でした。畏れ多いお言葉ですとともに、もちろん丸山先生の書も申し分ございません。問題は彫り師の私だけです。書はかすれが多すぎて、通常の刻字手法では表現できそうにありませんでした。そこで考えに考えたのが、青森ヒバの明るく美しい面を生かした、文字に色を入れない手法を考えつきました。黒を入れるべき所は深堀し、陰影で表現できるようにしてみました。かすれ部分は輪郭を加え、浅彫りにしました。いかがでしょうか、どうにか飾っていただける作品になったかと思います。
青森ヒバについて
不思議な木・・・青森ヒバは昔からそのように言われてきた。
その香り、美しい木肌、未だ解明されていない数多くの成分・・・。神秘に満ちた青森ヒバは数多くの人々を魅了し続けています。
刻字家としての青森ヒバは、白っぽく美しい木肌、比較的堅い木である(高堅木とよばれたものだそうです)。天然の抗菌成分であるヒノキチオールの香り、これらが揃って何ともうれしい材料です。製作段階はもちろん、作品としてのヒバは板と刻字作品が一体となって癒し効果を発揮してくれるようでs。
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